木炭と活性炭の違い(仮)
原料は同じ木材やおが粉(オガコ)、ヤシ殻等ですが原料を焼く際に単に高温で焼いたものが木炭、
炭より更に高温で焼くと同時に賦活(ふかつ)と呼ばれる工程を行うことで活性炭になります。
木炭も活性炭も共に異物や有機物を吸着する能力を持ちますが、木炭と比較して活性炭は賦活により活性炭表面に
ミクロ孔やメソ孔、マクロ孔と呼ばれる細孔を形成することで、より強力な吸着能力を持たせています。
食品添加物において、木炭(※1)は着色やミネラル・アルカリ成分の溶出、香り付け等を期待して使用され、
活性炭(※2)は液体の脱色や脱臭、有機物除去を目的に使用されています。
また双方とも最終商品からは完全に除去される必要があります。
使用例:
@酒粕→再発酵→蒸留→粕取り焼酎→脱色用活性炭と香味調整用活性炭単体もしくは併用使用した後、濾過→
※1:備長炭、白樺炭、その他焼きっぱなしの粗炭
※2:太閤活性炭(一般工業用活性炭)、くじゃく活性炭(醸造用活性炭)
活性炭の特性(仮)
活性炭表面に化学的な吸着能力は存在しますが、基本的に活性炭の吸着は物理的な吸着になります。
特定の成分や物体を選択的に吸着する能力はありません。
賦活により造形されたミクロ孔やメソ孔、マクロ孔等の細孔直径より小さい粒状物が吸着されます。
吸着の傾向として分子量が大きく、疎水性物質が吸着されやすくなっています。
しかしながら、pHの影響や高い温度、高い圧力下においては吸着能力が低下し、一度吸着したものが脱離する
可能性もあるため注意が必要となります。
原料や賦活方法(水蒸気賦活法、薬品賦活法)(※3)により造形するミクロ孔やメソ孔、マクロ孔の大きさや
また活性炭の粒度分布を調整することで吸着性能や作業性が変化します(※4)。
また通常のドライ品は粉塵として飛散し易いため、含水することで飛散制御しているウェット品(※5)
がございます。
※3:薬品賦活活性炭は比較的分子構造の大きな着色成分(着色前駆成分)の吸着に有効となります、
また水蒸気賦活活性炭は比較的分子構造の大きい臭気成分(香気成分)の吸着に有効となります。
※4:活性炭表面積と吸着性能はトレードオフの関係にあります。同容量の場合、粒状が大きい
活性炭を多く含む場合、表面積は小さくなり吸着性能が低下します。
しかしながら液中における沈降速度は速く、濾過による活性炭除去が容易になります。
反面、粒状が小さい活性炭を多く含む場合は逆の結果となります。
※5:粉体の飛散が軽減されています。